東京高等裁判所 昭和46年(行ケ)72号 判決
(争いのない事実)
一 本件に関する特許庁における手続の経緯、本願考案の要旨及び本件審決理由の要点がいずれも原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。
(本件審決を取り消すべき事由の有無について)
二 原告は、本件審決は、本願考案が、その作用効果において、引用例(それが本願出願前公知であることは、原告の認めて争わないところである。)記載のものと顕著な差異のあることを看過誤認したものである旨主張するが、この主張は理由がないものといわざるをえない。すなわち、
成立に争いのない甲第二号証(本願考案の願書及び明細書)には、本願考案は、原告主張の各効果を奏する旨の記載があるが、(1)原告主張の請求の原因四の(一)から(三)の効果は、前顕甲第二号証によると、卵カートンの底部分を蓋部分より薄く単位面積当りの重さを軽くした構造に基づくものと認められるところ、叙上のような効果は、この種包装容器において、その包装容器として技術常識上当然に備うべき程度の効果を出ないものと認められ、本願考案の上記の構造も、格別の困難性なく、当業者がきわめて容易に考案しうる程度のものというべく、(2)また、同じく(四)の効果は、本願考案においては、その可撓性及び弾性は、卵室部分に収納される卵を外部からの衝撃より保護する目的を有するものであり、底部分が、その程度の肉厚を有するものであることは原告の主張自体から明らかであるところ、成立に争いのない甲第三号証(引用例)によれば、引用例も卵室部分は外部からの衝撃に対し卵を安全に保持する程度に構成され、この限度で、直接卵にあたる部分が可撓性及び弾性を有するものと認められ、これを左右するに足りる証拠はないから、この点において、両者の作用効果に顕著な差異があるものということはできない。
(むすび)
三 叙上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、これを棄却する。
〔編註〕 本願考案の要旨は左のとおりである。
蓋部分と、卵を保持する卵室のある底部分とを有し、この卵室のある底部分は、パルプの有効厚さが均一に薄く単位面積当りの重さが蓋部分より軽い、単一構造のパルプで成形された卵カートン。